俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
ネギのたっぷり乗ったかきたま風うどんは出汁のいい香りがして、それを嗅いだ途端さっきまでゼロだった食欲がムクムクと湧いてきた。
「いただきます」と丁寧に手を合わせ、小鉢に取ったうどんをひと口啜る。出汁と優しい卵の味、それに生姜の香りが口の中いっぱいに広がって、風邪で弱っていた心と体に沁み込んでいく。
「うまいか?」
向かいの席に座って頬杖をつきながら周防さんが尋ねる。
「すごくおいしいです……」
素直に答えると、周防さんは嬉しそうに目を細めて満足そうに頷いた。
お腹がいっぱいになると、気分も落ち着いて頭も少し働きだしたような気がする。今さら私は自分のおでこに冷却シートが貼られていたことに気づいたし、メイクが落ちかけてとんでもない顔になっていたことにも気がついた。
周防さんは「気にすんな」と言ったけれど、とりあえずボロボロのメイクはシートで落とし、最低限の眉毛だけ書き直す。
洗面所から戻ってくるとリビングのテーブルに薬とスポーツドリンクが用意され、「座れ。そんで薬飲め」と命令された。
「今夜はもう遅いから泊まっていけよ」
いきなり当然のように驚くことを言われて、私は飲み込んだばかりの薬を喉に詰まらせそうになった。