俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
さっき慌ててメッセージを送ったとき、返信が来るまでのわずか数分はこちらの心臓が止まってしまうのではないかと思うほどドキドキとした。
周防さんが死ぬのはもちろん嫌だし、彼の体に害が及ぶのも嫌だ。それに……惚れ薬のせいとはいえ、私が浮気したことで彼が傷つくのさえ嫌だ。
これがどういうことなのか、自分でもよく分からない。
ただひとつ言えることは、私にとって周防さんは大切な存在で間違いないということだ。
「……やっぱ、小宮山さんの相談は断ろうかな。あり得ないとは思うけど、万が一小宮山さんがそういうつもりだったら困るし」
ぽつりとそう零せば、和花ちゃんはテーブルに頬杖をついて悩ましそうに言った。
「個人的には、周防さんってちょっと俺様だけどいい人だし恋人にするにはうってつけだと思うけどね。でも梓希が好きになれないなら意味ないし、やっぱり小宮山さんのことが好きなら応援するよ。さっきは〝浮気〟って言い方したけどさ、周防さんとの関係は不可抗力なんだから、梓希が小宮山さんを好きでも浮気にはならないと思うんだ。だから小宮山さんと会うことを後ろめたく思わなくてもいいんじゃないかな」
「和花ちゃん……」
応援してくれる友達の言葉をありがたく思いながらも、私はやっぱり考えてしまう。
憧れの小宮山さんと進展するかもしれないチャンス。でもそれって――周防さんより大切?と。
「……ありがと、和花ちゃん。もうちょっと考えてみるね」
私は微笑んでお礼を言うとビアグラスに残っていたヴァイツェンを飲み干して、「そろそろ帰ろっか」と椅子から立ち上がった。