俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「……眠れない……」
帰宅し布団に潜ってからも和花ちゃんと話したことが頭の中をグルグルして、私はさっぱり寝つけないでいた。
(もし……私が周防さんのことを好きになれたら、きっとすごく幸せなんだろうな。和花ちゃんの言う通り、恋人としては最高の人だと思う。でも私はやっぱり小宮山さんに憧れてる。今日だって『相談に乗ってほしい』って私を頼ってもらえてすごく嬉しかった。……それなのに……周防さんに隠れてまで小宮山さんと会おうと思えないのはどうしてなんだろ……)
瞼を閉じれば周防さんと小宮山さんの顔が交互に浮かぶ。
(ううーん……)
考えすぎてなんだか恋とか付き合うとかよく分かんなくなってきた私は、布団から起き上がると枕もとのスマートフォンを確認した。
時間はもうすぐ午前五時。周防さんはまだ帰ってきていない。
予定通りに進まないのがこの仕事の常だとはいえ、このままじゃ寝る時間がないんじゃないかと思うとちょっと心配だ。まあ私もこの調子じゃ今日は眠れそうにないんだけれど。
水でも飲んでこようと部屋から出た私は玄関から開錠の音が聞こえ、廊下で足を止める。
「周防さん……、お帰りなさい」
「あれ、お前起きてたのか?」
玄関の扉を開け入ってきた周防さんに駆け寄れば、とても分かりやすくお酒と煙草のにおいがした。