俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
「実はね、来年ちょっと大きい個展を開く予定なんだ。スポンサーがついてくれてね、反響次第で写真集の出版も視野に入れてる」
「わあ、すごい! おめでとうございます!」
思わぬおめでたい話に、パッと顔が綻んだ。もしかしてそれに関するお手伝いを頼みたいのだろうか。それならば喜んで引き受けさせてもらいたい。
けれど、ニコニコとしながら小宮山さんが続けて話した内容は、私の想像のはるか斜め上をいくものだった。
「それで個展用に新しい写真を撮り下ろすつもりなんだけど、ぜひ梓希さんにお願いしたいことがあって」
「いいですよ。私にできることでしたらなんでも言ってください。お力になりたいです」
「本当? じゃあ単刀直入に言うね。――梓希さん、僕にあなたのヌードを撮らせてもらえませんか?」
「それくらい、おやすいごよ……ええええぇっ!?」
思わず大声をあげてしまい、カフェ中の視線がこちらに向けられる。
慌てて口を手で押さえてから『え? え? 今なんて?』という視線を小宮山さんに向けた。
「驚かせちゃってごめんね。でも真剣なお願いなんだ。実はずっと梓希さんを撮ってみたいと思ってて。僕は自分の作風を自分で理解しているつもりだけど、梓希さんの柔らかなイメージは僕の世界観にピッタリなんだ。今度の個展はカメラマンとして僕の真価が問われる。梓希さんにはぜひ僕の世界のミューズになってもらいたい」