転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「でも、リヒャルト様の婚約者って……これから、決めるんでしょう? 私がいたら邪魔に……なっちゃう」

「今は、誰とも婚約するつもりはない」

 きっぱりと言うから、ヴィオラは驚いた。リヒャルトは、どうしてそんなことを言うのだろう。

 今の今までぼろぼろと泣いていたのも、その顔をリヒャルトに見られたくないと思っていたのも忘れて、目を瞬かせてしまう。

「今まで、俺に縁談がなかったのはどうしてだと思う?」

「……どうして、ですか」

 リヒャルトの立場が弱かったから? でも、それはもう解消されているし、過去のことなんて関係ないと思っていた。

 諸悪の根源だったティアンネ妃がいなくなった今も、リヒャルトの周囲には浮いた噂はひとつもない。だが、春になったら、きっといろいろな縁談が持ち込まれるのだろう。

「俺のところに嫁がせるなんて、相手が気の毒だと思ったんだ。だから、持ちかけられた縁談もすべて断ってきた」

「気の毒って……」

「折を見て、皇太子の座は譲るつもりでいた。母上の件もあるし、あまり表に出ない方がいいだろうと思っていたんだ――未来の皇妃を期待して俺に嫁ぐのならば、他の皇子に嫁ぐ方がいい」

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