転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 ただ、最低限の義務を果たし、華やかな世界で生きていながらも、けして日の当たるところには出ない。

 そんな生活を送るものだと思っていた――リヒャルトの説明をヴィオラなりに解釈すると、きっとそういうことなのだろう。

「リヒャルト様……でも、私とは婚約するの?」

「今は、それが必要だからな。ヤエコ殿を止めるのは、俺にも母上にもできないことだ」

 その言葉に、また涙が溢れそうになって慌てて目を瞬かせる。

 大切にされていたのは、なんとなくわかっていた。妹のように――あくまでも、妹のようにという範疇ではあるけれど、可愛がってくれていることも。だが、ここまでしてくれるとは思ってもいなかった。

「でも、リヒャルト様……これから、他にリヒャルト様と結婚したい人が出てきたら? たくさん、いると思うの」

 目を瞬かせて、もう一度浮かびかけた涙を追い払いながら問う。ヴィオラの言葉に少し考える表情になったリヒャルトだったけれど、ゆっくりと言葉を選んで話し始めた。

「今、俺に近づこうとする人間は信用できない。俺に対する父上の信頼だって、いつまで続くかわからないからな」

「皇帝陛下の信頼?」

「父上は、自分の立場をとても大切にするお方だ。だから、父上の権力を強めるのに役立つと判断されている間は、重用してくださるだろう」

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