転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「静かですね、リヒャルト様」

「そうだな、皆、外に出るのは控えているのだろう」

 リヒャルトと二人きり。他の人を交えずに彼とこうしていられるのは幸せだ。

 やがてリヒャルトが馬車をとめたのは、小高い丘の上だった。北の庭園は、暖かい季節はピクニックに使われたりするのだが、今は雪に埋もれてしまっている。

 馬車を降りたヴィオラは目を丸くした。

 丘の頂上には小型のそりが置かれていた。小型ではあるが、二人くらいなら乗れそうだ。

 異母兄や異母妹は、そり遊びをしていたが、ヴィオラにはそんな機会はなかった。雪が降ったら、自分の部屋でできるだけ温かくして過ごすのがいつものこと。

 ニイファとおしゃべりをしたり、図書室から持ち出してきた本を読んで過ごしたり。

 ここにそりがあるということは、これで遊べと言うことなのだろうか。

「あの、リヒャルト様……?」

「いいから、今度はこちらに座れ」

 抵抗する間もなく、ひょいと抱えあげられたかと思ったら、そりに座らされる。

 ヴィオラが座った前には、手すりのようなものがつけられている。リヒャルトはヴィオラの手を掴み、その手すりへと導いた。

「ここ、しっかり掴まっておけよ」

「ちょっと、待ってくださ……きゃああっ!」

 派手に悲鳴を上げたのは、リヒャルトが後ろに乗り込むのと同時に、そりが勢いよく飛び出したからだった。
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