転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 よく考えたら、前世の絶叫マシンもそうだった。

 風と圧力のかかり方を楽しんではいたけれど、周囲の景色までは堪能できなかった。カーブを描くたびに、身体が右に左に大きく揺れる。

「きゃああああっ」

 丘の下まではあっという間。ヴィオラの悲鳴が消えたかと思ったら、リヒャルトの笑い声、さらに悲鳴から笑い声へと変化したヴィオラの声が続く。

「ものすごく、楽しいです!」

 こうしている間は、難しいことは考えなくてもいい。

 それを思えば、こうやってそり遊びにヴィオラを連れ出したリヒャルトは正解なのかもしれなかった。

 滑っている間は、風を切って進む感覚を楽しみ、丘の上までは歩いて上る。

 十回近くそれを繰り返しているうちに、身体はぽかぽかとしてきた。先ほどまではずいぶん寒いと思っていたのにものすごい違いだ。

「次で終わりにしよう。そろそろ、お茶の時間だ」

「はい、リヒャルト様」

 けれど、楽しい時間というのは、終わりが近づくのもあっという間だ。リヒャルトに連れられて、丘に登る。ブーツを履いた足が、さくさくと雪を踏みしめる感触も楽しい。

「……この国は、とても広いんですね。リヒャルト様」

 丘の上からは、皇宮内をあちこち見渡すことができた。太陽宮とその左右に広がる満月宮、新月宮。それから、たくさんの星の名を与えられた建物達。
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