転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「……広いし、たくさんの人がいる。だが、心を許すことができる相手は、ほんの一握りだろうな」

 それなのに、リヒャルトはそんなことを言って、ヴィオラの心を揺さぶってくる。

 彼が何を考えて、そんなことを言うのか、ヴィオラには理解できなかった。

「……俺は、ヴィオラがいてくれてよかったと思うよ」

 さらに静かな声で、そう続けられる。ヴィオラは言葉を失った。ヴィオラがいることで、本当に少しは役に立てているのだろうか。

「俺に命を救われたなんて、気にしなくていい。目の前で、危険な目にあっている人がいれば、何度でも助ける」

「……リヒャルト様」

 彼との出会いは、馬車ごと湖に落ちたヴィオラやニイファを助けてくれた時。

 その時、ヴィオラは意識を失っていたけれど、意識を取り戻したあとに会いに来た彼は、命がけでヴィオラを守ろうとしたニイファのことを誉めてくれた。

 あの時は冷たそうな人だと思ったし、最初のうちはあまり好印象ではなかった。どうせ話をする機会もないだろうと思っていたのに、今、こんな風に彼との距離は近くなっている。

 なんて返したらいいか、わからなかった。

だから、ヴィオラは手を伸ばした。子供っぽいなと思いながら、彼の袖をつかむ。

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