転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 熱々のお汁粉にヴィオラの目が輝いた。甘いものが得意ではないリヒャルトの前には、塩味の効いたチーズサブレが出されている。

 餡は甘すぎるから苦手だというニイファも、お汁粉は味見するつもりのようだ。だが、彼女の器に入っているのは、ヴィオラの半分の量だった。

「……あっつ、でもおいしい!」

 雪の中で遊んだあとの汁粉は、身体を内側から温めてくれる。

 ヤエコがミナホ国の調理器具をいろいろと持ち込んでくれたおかげで、以前より餅つきが楽になったという話も聞いていた。

「……この果物の香りもいいですね」

 器に鼻を寄せたニイファが感想を口にする。

 汁粉には細く切った柚子の皮が浮かべられている。この国では流通していない果物だから、ミナホ国から持ち込まれたものだろう。

「柚子っていうのよ。皮も実も使えるんですって」

「ヴィオラ様はよくご存じですね」

「ヤエコ様が、ジャムにしてもおいしいって言ってたの」

 やがて、満月宮の使用人がタケルの訪問を告げる。断る理由もないので、サンルームで一緒にお茶を飲むことにした。

「ヴィオラ、帰ってきたのか。って、リヒャルトも」

「今日は、午後から時間ができたんだ」

 サンルームに入ってきたタケルは、リヒャルトもそこにいたのに驚いたようだ。リヒャルトは、片手をあげてタケルに挨拶をする。
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