転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「一人だけだが、それが何か」

「前に燃えた時は――同時に、いろいろなところから火が上がったって聞いた気がするんです」

 ヴィオラの言葉に、ぽんとタケルが手を叩く。

「そうだよ、あの時はいろいろなところから同時に火が上がったんだ。あれ、じゃあ――あいつは、どうして一人で来たんだ?」

 首をひねって考えるものの、誰も答えを見つけることはできなかった。

 その時、新月宮で働いている使用人達の声がしたかと思ったら、勢いよく扉が開かれる。

「まったく、礼儀がなってないね! 扉は静かに開くもんだろ!」

 立ち上がったヤエコが叫ぶ。ヤエコの剣幕に押されたように、扉を開いたところで立ち尽くしていたのは、セドリックだった。

 一人で来たということは、ジャニス妃を宮まで送ってから戻ってきたのかもしれな。ジャニス妃の姿は、そこにはなかった。

「――こいつだ! こいつが命じてやらせたんだ、母上!」

「違う! 俺の話を聞いてくれ! そのために来たんだ」

 セドリックを指さし、タケルが声を上げる。だが、タケルの言葉よりもセドリックの言葉は鋭く聞こえた。

「たしかに俺も母上も、ミナホ国と国交を開くのは反対だ。ワナム国には不利益になるからな。だが、俺達は放火なんて命じていない」

「……ふぅん」

 愉快そうにじろりとセドリックを見たヤエコは、ひらひらと手を振って彼を招く。そうして、目の前に座るよう、目線で合図した。
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