転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「新月宮には、警護はついてなかったですよね?」

「必要ないからな。新月宮にいる者は、自分の身は自分で守ることができる。まあ、俺には先生が護衛についているが……」

 一度足を止めたけれど、すぐに二人は何も気づいていないふりを装った。そのまま新月宮に足を踏み入れる。

「なあ、ヴィオラ。部屋に持っていくなら、鏡台がいいんじゃないか。母上がヴィオラになら譲ってもいいと言っていたぞ」

「ホント? 楽しみ! ぜひ見せてください」

 なんて会話をかわしているのは、あくまでも家具を見に来たという体裁を装っているため。新月宮の玄関ホールを横切ろうとした時、扉が外から勢いよく開かれた。

「タイシン・ムライ! 出てこい!」

「な、なんだよ、お前達! 先生、皇宮騎士団のやつらが押し入ってきた!」

 ヴィオラを背後にかばうようにしてタケルが叫ぶ。

 皇宮騎士団は、皇宮内の警備を任されている。だが、ここはミナホ国の人達が滞在している場所であり、皇宮騎士団は立ち入りを許されてはいない。ヤエコの許可なく入り込んでくるということは、こちらに敵愾心があるということだ。

タケルの叫びに、奥の方から走り出てきたタイシンは、腰に手をかけた。

 だが、ここでは武装が解除されているということを思い出したようで、ぐっと拳を握りしめただけ。

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