転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「それは、違う、ヤエコ様。私ははめられたんだ。ラファエラ妃の侍女達に宝石を贈ったのは、ラファエラ妃の動きをこちらに流してもらいたかっただけ。機密を持ち出そうとはしていない」

 タイシンの言葉に、ヤエコは眉を吊り上げた。だが、タイシンの様子に嘘はないと思ったらしい。

 たしかに、機密を持ち出すのにラファエラ妃の侍女に近づくのは不自然だ。そもそも、持ち出されて困る機密なんて、ラファエラ妃は持ち合わせていないから。

「ラファエラ妃は、私を切り離すことにしたんだろう。協力していると知られたら、自分の身にも害が及ぶから」

 ヤエコは難しい顔をしたまま、リヒャルトの方を振り返った。

「リヒャルト。タイシンの処遇はどうなる?」

「次の船でミナホ国に戻ってもらうことになる」

「部下が大変な迷惑をかけた。申し訳ない」

 タイシンの裏切りを知ったヤエコは、少しばかり老けて見えた。彼女も、今回の件では受けたダメージが大きかったらしい。

「いや――今後のことについては、改めて協議させてもらおう」

「わかった。私は先に行くよ。リヒャルトも、タイシンに聞きたいことがあるだろう。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

 先に部屋を出たヤエコのあとを、ヴィオラは慌てて追いかけた。足早に歩くヤエコは、かなり先に行ってしまっている。

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