転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「多少の妨害は覚悟していたが、全員の住処を燃やされるというのはさすがにこたえたな。次はこちらの国の様式で建てることにしたよ。馴染んだ家の建て方の方がいいのではないかと思ったが――」

 ヴィオラの前で腕を組んで、ヤエコは深くため息をついた。

「早く、再建できるといいですね……」

 ヴィオラは、それ以上のことは言えなかった。ヴィオラにとって、ミナホ国の人達もとても大切なのだ。生活様式はまるで違うけれど、どこか懐かしい気持ちにさせる。

(帰りたいって、思ってなかったはずなのに)

 デンジロウが最も好んだという一首が、脳裏に浮かぶ。

 この世界で“ヴィオラ”として生きていくことを決めた時に捨てたはずの郷愁が、あれ以来時々蘇ってきて悩まされるのだ。

「それに、タイシンも怪しい人物を見かけて追いかけたと言っていた」

「だから、あの時見なかったんですね」

 ヤエコの護衛であるタイシンがいなかったというのは、そういう理由だったのか。

「ああ。彼を振り切って逃げるというのだから、かなりの使い手だと思う。そんなやつがいるのかと思うとぞっとするな」

 ヤエコが、真面目な顔でそう言う。

「気を付けてください、ヤエコ様」

 結局のところ、ヴィオラにできることなんてそう多くはないのだ。今だって、慰めの言葉をかけることしかできなかった。

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