転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「二人で話ができるところはあるか」

「ここじゃ、だめですか?」

「落ち着かないだろ」

 そうは言われても、どこに行けばいいのやら。ちょっと考えて、満月宮の中にある談話室へと連れていくことにした。

 ここは皇帝や皇妃が客人を招いた時に使う部屋の一つだ。

 満月宮でごく親しい友人との食事会が終わった後、こちらに移動して食後のお茶を飲んだり、お酒をたしなんだりするのに使われる。

サンルームから少し離れたところにある談話室に置かれているソファは柔らかくて座り心地がいいし、今日はほヤエコとタケル以外の客人もいないので、誰かが不意に入ってくることもない。



(……何を、話すつもりなんだろう)

 前を歩くヴィオラは、肩越しにちらりとタケルの様子をうかがう。彼は、興味深そうにあちこちに視線を走らせていた。

 窓辺に置かれているソファに座ったヴィオラは、もう一つのソファに座るよう、タケルをうながす。

 一人がけのソファはゆったりとしていて、ヴィオラは埋もれてしまいそうだ。それでも、きちんと背筋を伸ばし、膝の上に手を置いてタケルの方を見据える。

「縁談って、本気ですか? タケル様」

「本気だ。どうせ、こっちには俺の嫁を探すためという理由もあるんだからな。ちょうどいい相手も見つかったし、縁談を申し込まない理由がない」

「ちょうどいい相手って……私じゃ、ミナホ国とこの大陸の縁を結ぶことにはならないですよ」

 タケルは知っているのだろうか。ヴィオラが母国では冷遇されていたことを。
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