キミの溺愛は甘すぎる。
今日は優翔とどこに行こうか。
朝からそれしか考えていないくせに、なかなか決まらない。
準備室に向かっている途中も考えながら、人がいない一階の廊下を歩く。
やっぱり学校近くにあるショッピングモールへ行くのが一番無難だろうか。
けれど電車に乗って、少し遠くへ行くのも恋人らしいなと思ったり思わなかったり。
恋人らしさを重視している自分がいて少し恥ずかしい。
その反面、自然と頬が緩みそうになる。
それを隠すために何となく窓の外を見れば、ちょうど中庭の横を通り過ぎるところで。
「……あっ」
ふとある人物が頭に浮かび、ベンチに視線を向ければ案の定山城先輩が横になって眠っていた。
今日は結構肌寒いというのに、長袖のシャツ姿で眠っている様子。