キミの溺愛は甘すぎる。
「早く行くよ?」
「あっ、うん…!」
慌てて肩にかけてくれたブレザーに袖を通し、鞄を持って立ち上がる私。
「山城先輩、ブレザーとココアありがとうございました」
「……どこか行くのか?」
「はい!じゃあこれで失礼します!」
これから待ちに待った優翔とのデートである。
最後に山城先輩に対して笑顔を浮かべ、私は優翔の元へと駆け寄った。
「ごめん優翔」
「ううん、大丈夫。俺のほうこそ話してる途中だったのに呼んでごめんね?時間が惜しいって思ったから」
優翔の手が私の肩にまわされ、グッと引き寄せられる。
いつもは『何してるの』と言い返すだろうけれど、今はそれどころじゃなくて。
『時間が惜しい』という優翔の言葉が頭から離れない。