キミの溺愛は甘すぎる。
「ふっ、単純なやつ」
「悪口はひどいです」
「悪口じゃねぇよ、ただ面白いなって」
面白いって言われてもまったく嬉しくない。
バカにされているようだ。
少し不機嫌になる私に対して、山城先輩はどんどん上機嫌になっていき。
いつのまにか逆転してしまったようだ。
この後が楽しみでワクワクしていたというのに。
「拗ねるなよ、別に何も言ってねぇだろ」
「わかってます。拗ねてないんで」
「嘘つけ。明らかに拗ねて…」
「鈴華」
ムッとしながら山城先輩と話していると、それを遮るかのように優翔が私を呼んだ。
パッと振り向けば、鞄を持って帰る準備を済ませている優翔が笑顔で立っていた。