キミの溺愛は甘すぎる。
「そういう意味じゃ、ないんだけどな…」
「え?」
「ううん、ありがとう。もらうね」
にこっと笑顔を浮かべた優翔はココアの缶を受け取り、同じように飲み始めた。
けれどその笑顔に少しだけ違和感があったのが正直なところ。
なんとなく作り笑いだと思った。
そもそも優翔は、甘いものがあまり好きではないはずだ。
それなのにココアを飲みたいだなんて言う時点でおかしい。
「……甘い」
「やっぱり。優翔、甘いの苦手だよね?」
甘すぎたのだろう、優翔が少し眉を潜めていて。
「まあ、そうなんだけど…」
「喉が渇いてたの?」
けれどこんな甘いものを飲めば余計甘くなるはず。
「鈴華は甘いのが好きだよね」
「大好き。この甘さが美味しいのに」
それを苦手とするだなんてもったいないと思いつつ、ココアを受け取ろうとしたけれど。
なぜか優翔にひょいっと躱されてしまう。