キミの溺愛は甘すぎる。



「そういう意味じゃ、ないんだけどな…」
「え?」

「ううん、ありがとう。もらうね」


にこっと笑顔を浮かべた優翔はココアの缶を受け取り、同じように飲み始めた。

けれどその笑顔に少しだけ違和感があったのが正直なところ。


なんとなく作り笑いだと思った。



そもそも優翔は、甘いものがあまり好きではないはずだ。

それなのにココアを飲みたいだなんて言う時点でおかしい。



「……甘い」
「やっぱり。優翔、甘いの苦手だよね?」

甘すぎたのだろう、優翔が少し眉を潜めていて。


「まあ、そうなんだけど…」
「喉が渇いてたの?」

けれどこんな甘いものを飲めば余計甘くなるはず。


「鈴華は甘いのが好きだよね」
「大好き。この甘さが美味しいのに」

それを苦手とするだなんてもったいないと思いつつ、ココアを受け取ろうとしたけれど。


なぜか優翔にひょいっと躱されてしまう。

< 182 / 226 >

この作品をシェア

pagetop