キミの溺愛は甘すぎる。



「未央ちゃん?」

「いや、鈴華ちゃんが拓哉拓哉って言ってるから、涼雅くんが拗ねるだろうなって」

「お父さんが?」
「だって涼雅くん、すごく鈴華ちゃんのことが好きだからね」


にこにこ笑う未央ちゃんは、きっと拗ねるお父さんの姿を想像しているのだろう。

確かに私のお父さんは少し親バカ…なのかもしれないけれど。


思春期の私には少しきつい。


クラスの女子や男子には『かっこいい』と騒がれるけれど、私には拓哉さんがいるためまったくかっこいいと思わない。

圧倒的に拓哉さん派である。


「んー、でもやっぱり私は拓哉さんが好きだからな」

「拓哉も鈴華ちゃんがかわいいって私の前でも言ってるよ」

「ほ、本当!?」


それは初めて聞くため、思わず声が上ずってしまう。


「うん、本当だよ」
「それは嬉しい…!やった、今日は朝から幸せだ」

単純な私は、すぐに嬉しい気持ちでいっぱいになる。


その後も気分良くご飯を食べていたため、まったく気づかなかった。

ご飯中、優翔が一度も口を開かなかったことに───

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