キミの溺愛は甘すぎる。
*
気まずい空気が流れていた。
特に私が何かをしたという覚えはない。
つまり相手が一方的に不機嫌なのである。
車が空いた道路を走る中、車内には何ともいえない沈黙が流れていて。
ちらっと隣に視線を向ければ、無表情で窓の外を眺める優翔の姿があった。
明らかにいつもと違う。
昨日までのテンションと違う。
一体何があったのかと聞きたいくらいだ。
今日の朝、起こされた時は機嫌よく唇をふにふに触ってきたくせに。
どうしてこうも不貞腐れているのだ。
「……優翔?」
とりあえず彼の名前を呼んでみるけれど。
反応はない。
「どうしたの?
機嫌、悪そうだけど…」
もう一度話しかけても反応を示さず。
さすがにムッとしてしまう私。