すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「好、き……だと思ったの……。いつも無表情な智君が笑ってくれたり、優しくしてくれる時の仕草が……好きだと思ったの……」

今まで口にしたことのないその想いを恥ずかしさのあまり瞳を潤ませ、言葉に詰まりながらも必死に言葉にした。
恥ずかしすぎて、このまま死んでしまうのではないかと思うほど心臓は暴れているし、抱きしめてくる智大は何も話さないしで、限界を感じた藍里は首だけ振り返って弱々しい声を出した。

「も……恥ずかしくて……死んじゃいそう……」

「っ……!」

言い終わると同時に智大に体の向きを些か乱暴に変えさせられると驚く間もなく、柔らかい感触が唇に押し当てられた。

「ん……っ……!?」

目を見開くも至近距離に智大の顔があり、見ていられなくてすぐに強く目を閉じた。
そうしている間も智大の右手は藍里の背中に、そして左手は後頭部に移動していて、一ミリも離れることは許さないと言わんばかりに抱き寄せられている。

唇が離れては触れてと幾度となく繰り返され、実際よりも長く感じられたそのキスが終わった時には藍里は息も絶え絶えになり、ぐったりと智大の胸にもたれ掛かっていた。
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