すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「俺も好きだ。初めて会った時から、今でもずっと……好きで好きで仕方なくて堪らなかった」

「っ……!」

智大からの愛の言葉に、藍里は息が止まるかと思った。
藍里が病院で目が覚める直前に室山に話していた智大の気持ちと行動のおかげで好意は伝わっていたけれど、“言葉”がほしいとお願いしてから面と向かって言われたのはこれが初めてだった。

「藍里、息しろ。止まってる」

とんとん、と優しく背中を叩かれ思い出したように息を吐き出すと、智大は優しく微笑んだ。

「キスして好きだと言ったら呼吸困難で発作。なんて誰にも説明できないから止めてくれ」

「う、うん……。大丈夫、絶対に発作起こさない……だから智君、お願い」

もう一度だけ言って……?と服を掴みながら言うと、智大はふっと笑った。

「一度言ったら案外平気になるんだな……。藍里、好きだ。愛してる」

「わ、私も……私も多分好き……」

ぎゅっと智大の首に腕を回して抱きつけば智大は、多分って曖昧だな。と苦笑しながら藍里と同じ力加減で抱きしめ返してくれる。

今はまだ好きだと思っただけで本当にそう思っているのかとか、智大のように“愛してる”という気持ちまでは分からなくてちゃんと伝えられなかったけれど、いつか智大と同じだけの気持ちが芽生えたら、その時は必ず伝えようと人知れず固く心に誓った。
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