すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「おおっ!口を開いたぞっ!」

「可愛いですねー。癒されます」

「永瀬さん、やっぱり今からでも娘さん俺にください。一緒に藍里さんもください」

「誰がやるか」

四人でワイワイと盛り上がっているのを微笑ましく見つめながら、藍里は膝掛けをかけながらソファーに座っていた。

かなり無理して出産したので、一ヶ月経った今もまだ万全とは言い難い体調だった。
特に産後は歩くことも出来ないくらい骨盤が痛んだし、不規則な夜泣きに睡眠時間を削られ疲労困憊だった。

そんな中、助けてくれたのが育児休暇を取った智大で、今までのように家のことに加え、赤ちゃんや藍里の世話まで甲斐甲斐しくしてくれた。
退院してすぐに遊びに来た智大や藍里の家族の相手も一人で任せてしまったりと、頭が上がらない思いだった。

「……体調はもういいんですか?」

藍里がこの一ヶ月のことを思い返していると、いつの間にか近くにやって来ていた汐見が、どこか気まずそうにしながら話しかけてきた。

「えっと……とりあえず、こうやって座れるくらいには大丈夫になりました」

「それって、大丈夫って言えるのか……?」

小さく呟かれた汐見の言葉に、藍里は曖昧に苦笑するしか出来ない。
まだ歩けば痛みがあるが、これでも本当に大分回復した方なのだ。

そんな藍里を見下ろして、何か言いたげに口を開いたり閉じたりしていた汐見は、やがて言葉が纏まったのかやっと思いきって口を開いた。
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