すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
〈智大side〉

「室山先輩、只今戻りました。外出許可ありがとうございます」

「おお、永瀬。嫁さんは大丈夫なのか?」

「今は落ち着いて目も覚めました。戸締まりをすること、外に出ないことを言っておいたので大丈夫かと……」

「だが、不安がってなかったか?お前が嫁さんの傍についていられるようにしたかったんだが……」

「いえ、今回の事はまだ説明してないので不安はないと思います」

智大がはっきりそう言うと、室山は驚いたように目を丸くした。

「説明してない?なら外出禁止に納得しなかったんじゃないか?」

「闇雲に不安にさせるより、納得しないままでも安全な場所にいてもらった方がいいと判断したまでです」

「でもなぁ……永瀬を恨んでる銀行強盗の犯人が逃亡して、妻である嫁さんが狙われる可能性も高いって説明くらいはしても良かったんじゃないか?」

「……妻の持病でもある喘息は心理的ストレスによって悪化する場合があります。
今回の件も何事もなく解決する場合があるので、あまり不安を感じさせてストレスを抱えさせるのは得策ではないです」

「そうか……?そうなのか……俺はその辺りは詳しくないからなぁ……」

首を傾げ難しそうな顔をする室山は暫くの間思案し、やがて顔を上げると満面の笑顔を浮かべた。

「とりあえず、永瀬が嫁さんの事をそれだけ大切に想ってるんだって言うのはよく分かった」

「……止めてください」

柄じゃないです。と顔をしかめてそう言うと室山は声を出して笑った。
そしてすぐに表情を引き締めると、銀行強盗主犯の逃亡対策本部となっている会議室へと共に向かった。
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