すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
〈智大side〉

事は未明に起こった。

どうやったのか藍里と共に巻き込まれた銀行強盗の主犯が逃亡。
即座に警察が緊急配備を敷き、テレビなどでも情報を流し行方を追っているが、未だに有力な手掛かりはない。

ただ一つ予想されているのは、犯人は必ず智大の妻である藍里を狙ってやって来るであろうということだけだった。

智大に取り押さえられ、その恨みと憎しみを目の前にいた藍里へと向けて言い放った“絶対に許さない”と言う言葉。
例え杞憂だとしても狙われる可能性がある以上、犯人逃亡という失態を犯した警察側としても何も対処しないわけにはいかなかった。

その事を伝えられた智大はすぐに藍里の勤めているペットサロン、そして圭介に連絡をして話せる限りの説明をし、決して口外しないようにと念押しした。

室山に許可を貰って急いで家に戻り、藍里にどう説明しようかと考えていたが圭介と口論になり、その途中で呼吸困難に陥り倒れてしまった藍里を支え愕然とした。

数日前よりかなり痩せ細ってしまっていた体に、意識を無くしても重く感じる事のない軽すぎる体重。
その体を強く抱きしめていたら頭上から先程より幾分か落ち着いた圭介の声が聞こえた。

「智大……このままじゃ、あいちゃんが可哀想だ」

さっき言われたことをもう一度、今度は小さい子供にでも言い聞かせるような言い方で言われて眉を潜めて見上げた。
圭介はこっちなんて見ていなくて、顔色悪くぐったりしている藍里だけを見つめて悲しそうな表情をしていた。
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