生簀の恋は青い空を知っているか。
「私を産んで、愛がどっかに行っちゃったのね。すぐに二人とも外に夢中になる人を作ってた。子どもの私が分かるくらいには」
それを聞いたのは初めてで、内心驚きながら、でも顔には出さないように努めた。
「だから、最初松葉にあんなこと言っちゃった」
「あんなこと?」
「覚えてないなら良いの」
にこりと鼎が笑んで、それを言及する前に理美が戻ってきた。
「近くで花火大会やってるみたいだよ。帰り被らないと良いねえ」
「あーそうね。去年から今日の予約ばんばん入ってるから」
「流石ホテル業界……!」
鼎が苦笑いする。