生簀の恋は青い空を知っているか。
ふざけているのかな、とその視線の先を辿る。
ふざけてなかった。
「わたしまだ浅黄さんのご両親にもちゃんと挨拶行ってないのに……」
「いやそれより強敵だ」
「それはプレッシャーですか?」
「あ、目があった」
なんで見てるの。
浅黄さんが向こうに営業スマイルを浮かべる。
わたしは全てを諦めて、視線を下げた。手を取られる。
視界の端で浅黄さんに声をかけようとした何人もの人が立ち止まる。浅黄さんが動いたからだ。
「お久しぶりです」
最中社長、つまりお祖父さんへと声をかける。わたしもお辞儀をした。