生簀の恋は青い空を知っているか。

わたしが浅黄さんにできること。
今、家での家事は好き好きにやっているし、食事も別だ。

今日だってわたしは浅黄さんにドレスを買ってもらって、この前だって洗濯機を買ってもらった。

「何を……」

採用面接を思い出した。他社を受けるときよりも、自社を受けるときの方が緊張した。

「俺の妻に圧迫面接しないでもらえますか」

あ、いつもの浅黄さんだ。と考えの外で認識した。

「お前にも言えるぞ、浅黄」
「ええ、俺は松葉に何もしてやれてません」
「もっときちんと人生を考えなさい」

言葉が重くのしかかったままだった。

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