クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「それでは本題ですが・・・」

「その前に、コーヒーをいれてもよろしいですか?」

和生の言葉を遮った愛菓は、既にコーヒーマシーンに手をかけていた。

「今の気持ちをラテアートにします」

「あ、ええ、構いませんが」

こんなにもMr coolと呼ばれる和生を翻弄する存在はいない。

゛空虚のマイペースだな。それなのにスイーツ作りは完璧だから恐れ入る゛

愛菓は真剣な顔で、でも嬉しそうにコーヒーカップを見つめる。

愛菓の手から作り出されるラテアートも゛le sucre゛では評判メニューの1つだ。

「できましたよ、和生殿」

差し出されたカフェラテの模様は四つ葉のクローバー。

「このお店に幸運がもたらされますように」

そう呟いた愛菓の顔には、期待と興奮がほんの少しだけ現されているように見えたのは、和生の自惚れかもしれない。
< 14 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop