クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
゛Pouding adulte゛

「これは低血糖を回復するためのお薬と思って食べるのです」

半ば脅迫と言えなくもない愛菓から受け取ったプラスチックのスプーンで、和生は、おずおずとそのプリンを一口にした。

「甘くないし、う、まい」

滑らかなカスタードクリームと苦味のあるコーヒーテイストのカラメル。

甘味が少ないのに濃厚なそれは、気がつくと、すべて和生の胃に収まっていた。

「あなたのような人にも受け入れてもらえて、癒しを与えられるスイーツってどんなものだろうと、ここに来てからずっと考えていました。お役にたてたようで満足です。それなりにカロリーはあるので、夕飯まで、思考が途切れることはないかと思いますよ?・・・それでは、お大事に」

そういって、愛菓は満足そうに、持ち場に戻っていった。

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