白と黒ゲーム
私は目に付いたビニール袋を手に取り、冷蔵庫から氷を取り出し、適当に詰めて縛った。
私はこういう怪我の治療についての知識は全くと言っていい程無かった。だからドラマとかで見ていたのを絞り出すかのように思い出し、内心不安に思いながらも行動していた。
私は氷袋を目を丸くしていた純に渡し、包帯と湿布を念の為に持てるように探した。
少し時間がかかったが何とか見つけることが出来た。
「...お前ってこんなこと出来んだ...」
「自信はないけど...取り敢えずの応急処置はこんなんでいいんじゃない?後はクラスの皆に聞いてみよ。大部屋にいるだろうし。」
私は深堀されないように話を逸らすと、そんな意図も知らずに純は頷いた。
二人揃って保健室を出て大部屋へと向かった。部屋の前に立つと両扉が自動的に開いた。施設全体の清潔感だけでコンビニとは全く違う研究所を想像してしまう。
大部屋の中には皆既に集まっており、こちらへ視線を向けた。だが、どの視線も私達を温かく迎え入れるような感じでは無いのはすぐに分かった。
「....だいぶ遅いじゃないですか...私はすぐにと言いましたよね?」
美智が低い声でそう尋ねると同時に今置かれている状況を理解した。
「しかも二人揃って...何かの打ち合わせでもしてたんですか?」