白と黒ゲーム
「ち、違うの!純が怪我をしてたからその手当をしててそれで!」
「....口実の為なら怪我の演技までするなんてな。階段で転んだのかい?」
山田に生意気な態度をとっていた真がケラケラ笑いながら質問をしてきた。もう既にゲームの要、黒側と決めつけていた。
そんな真の態度に動揺の表情を見せず、純は私の一歩前に立ち、氷袋をとって皆に怪我を見せた。
「昨日山田と部屋入る前に一悶着あってな。アイツに殴られたんだ。部屋に医療器具が無かったからほっとこうと思ったんだが、杏が保健室まで連れてってくれて治療してくれた。これでいいか?」
「はぁ...嘘をつくならもっとまともな」
「いや、俺は見てたぞ。部屋に入る前に純が怒鳴ってて殴られてた、丁度真裏だしな。」
そう声を出してくれたのは加藤英一。出席番号は八番、純の隣部屋の男子生徒だった。
それを聞いて真は少し驚いた表情をしたが、口を塞いでニヤニヤしながら純を見る。
「ふーん。もしかしたら山田のテコ入れかな?」
「どういう意味ですか?」
不思議そうに聞いてきた美智に真は得意げな顔で答えた。これから言うであろうことに私は勘づいていた。
「それすらも口実とでも言いたいんでしょ?んなわけないでしょ?自分の役職は部屋に入るまで分からないじゃん。」