同じ人を好きになるなんて
こうなったら……

「ねえ、りっくんのお母さんって凛子さんていうの?」

「ああ、そうかまゆりには言ってなかったな」

私の緊張はピークに達した。

胸ばくばくするし、話によっては昨日の甘い時間も昨日限りかもしれない。

私は唾を飲み込んだ。

「理人の母親は綱島凛子。カメラマンをしているんだ」

「か、カメラマン?」

「ああ、主に動物や自然をメインに世界中を回ってる。ちょっと待ってて」

陸斗は立ち上がると棚から1冊の本を取り出した。

「これが理人の母親の出した写真集だ」

差し出された本は動物の親子の写真集だった。

ライオンやキリン、チンパンジーから犬や猫まであらゆる動物の、それも母と子の親子愛を感じる写真がたくさん載っていた。

撮影場所もアフリカもあれば日本の民家庭先だったり。

だけど、どの写真も素敵なものばかり。

私は写真を撮った人が陸斗の奥さんということを忘れ、夢中になっていた。

「俺からしたら動物より自分の子供を見ろよって思うけどね」

陸斗の何気ないその一言にあれ?とは思ったが、私はこの動物たちを通して自分の子供への愛情を表現しているのではと思った。

きっとりっくんへの想いが込められているんだろうな。

それにしても本まで出しようなすごいカメラマンが陸斗の奥さんだったなんて私には勝てる自信がない。
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