同じ人を好きになるなんて
「お姉ちゃん食べよ?」

理人くんにも言われてしまったら断れない。

「ありがとう。じゃあ一緒に食べようかな」

理人くんには素直になれるのに陸斗に言われるとどうしても身構えてしまう。

「お姉ちゃんいこ?」

「はいはい」

ご飯を済ませ、保育園の準備を済ませた。

すると陸斗が驚いた様子で私たちを見ていた。

「どうかした?」

「いや、理人がこんなに早く支度を済ませたことがないからびっくりして」

どうやら普段はギリギリまでぐだぐだしているらしい。

理人くんは得意げな顔で「だってまゆりママをを待たせちゃ失礼でしょ?」と言って腰に手を当てた。

片手ほどの年齢の子がこんなことを言うなんてかなりのおませさん?

しかも天使のような可愛い顔はいずれ父親の陸斗のようなイケメンになるのは確定している。

将来は何人の女性を虜にするんだろう……なんてことを考えてしまった。

すると陸斗が親指を立ててニヤリと笑った。

なんだかやんちゃな男の子が二人いるみたいで口元が緩んでしまう。

「さあ、理人くん保育園に行こ?」

「うん。陸パパ行ってきまーす!」

元気な挨拶に陸斗の顔もほころんでいた。

「じゃあ、行ってきます」
< 63 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop