俺の、となりにいろ。

「一体何があったんだ」と、慌てる総務部の山城部長と、その後ろにはロマンスグレーな紳士の桐谷専務、そのボディガードの熊沢さん、そしてこの会社の警備員が続いて備品室に入ってきた。
紺野主任が熊沢さんに城ノ内主任を引き渡すと、桐谷専務たちに動揺して上手く話せない私の代わりに、見たままの状況の説明を始めた。
その後、桐谷専務は山城部長と熊沢さん、警備員に城ノ内主任を別室へ連れていくように指示を出した。

「痛い、離せ」と、文句を言う城ノ内主任に、熊沢さんの腕を掴む握力は容赦ないようだ。
桐谷専務のボディガードを務める熊沢さんは、かつて柔道のオリンピック選手として候補に上がったという経歴を持つ、体の大きな男性だ。
城ノ内主任は苦しそうに私を見て「俺は」と言いかけたが、熊沢さんに急かされて部屋から去っていった。

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