クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
リカルドはリアナに優しい眼差しを向けて、説明してくれる。

「フォルセアとの和解の条件に王族の婚姻が上がったんだ。だがあの国は信用できない。エルドラが嫁いだとして人質として扱われる恐れがある」

「そうなんですね。リカルド様はエルドラ王女様を守る為に、今回の輿入れをすすめていたんですね」

彼の優しさが嬉しかった。エルドラ王女に対してだけはきつい口調だけれど彼女への情は確かにある。

「ふーん。そうなの。だったら大人しく山国に嫁ぐしかないわね」

エルドラ王女は軽い口調で言うと、用が済んだのか部屋を出て行こうとする。

しかし扉の前で立ち止まると、振り返りリアナを見た。

「リカルドのことを好きって言ったのは嘘よ。恵まれた環境にいるのにおどおどと暗い顔をしているのを見てたらイライラしたの。でも結構度胸があるし見直したわ」

言いたいことを言い、リアナの返事も聞かずにエルドラ王女は出て行った。

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