ロマンスの王子様

２人だけの顔あわせが終わって自宅に帰ると、
「何なのよ、あいつは！」

ボコボコと枕を殴りながら私は叫んだ。

「何で初対面の相手にあんなに言われなきゃいけないんだよ！？

仕方なく妻にするって何だよ！？

そんなにも結婚が嫌か！？

そんなにも私が嫌いか！？

生理的に受けつけないと言いたいか！？」

奥原賢志郎に対しての怒りと言い返せなかった悔しさを枕にぶつける。

「総帥だか社長だか何だか知らないけど、偉そうなのがムカつく！

ちょっと金持ちだからって、かっこいいからって、図に乗ってるんじゃねーぞ！

そんなに性格が悪かったら結婚ができないのは愚か、興味がないのも当然だっつーの！

家の事情がなかったら、あんたみたいなゲスの極みヤローはこっちから願い下げじゃ、このタコ！」

先ほど言い返せなかったことを全て叫ぶと、壁に向かって枕を投げつけた。