エリート外科医といいなり婚前同居
すごく可愛いし、女性らしいデザインが好きな礼央さんにも気に入ってもらえそう……。でも、私に似合うだろうか。試着してみようかな……。
マネキンを睨みながら、悩んで立ち尽くしていたその時だった。
「千波さん?」
誰かに名前を呼ばれてパッと振り向くと、そこには父の再婚相手の息子、白石拓斗くんが立っていた。
彼と会うのは、前に母の亡くなった理由を聞かされて以来だから、なんとなく気まずく思いつつ、笑顔で挨拶する。
「こんにちは。偶然だね」
「ですね。千波さん、買い物ですか?」
「うん。クリスマスパーティーにお呼ばれしてるから、その時のドレスを選びに」
「なるほど……」
拓斗くんは頷きながら、私の見ていたマネキンに視線を移す。
そしてもう一度私の姿を上から下まで眺めたかと思うと、うーんと首をひねった。
「千波さんには、このドレスよりもっと似合うのがあるんじゃないかな」
「えっ?」
つまり、このドレスは私に似合わないってこと?
けっこう気に入ってたんだけどな。