エリート外科医といいなり婚前同居

「これなんてどうですか?」

「いや、それは私には似合わないんじゃ……」

しかも、拓斗くんがすすめてくるドレスはどれも大人っぽいデザインのものばかりだった。

今彼が手にしているのも、マーメイドラインがセクシーなボルドー色のドレス。肩が丸出しで胸元の露出も多いし、全然私の趣味じゃない。

「じゃあ、こっちは?」

次に彼が選んだのも、胸元が開いていない代わりに背中がぱっくり割れた、セクシーなデザインのドレス。

色は黒で地味だけれど、体のラインがばっちり出ちゃうタイトなシルエットで、自分のスタイルに自信のある人しか着ちゃいけないって感じだ。

「それもちょっと……ほら、私、背が小さいし色々と貧相だし」

うう。親しくもない男性に、なぜ自分の情けない体型のことを説明しなきゃならないのか……。

明らかに気まずい空気を出す私に気づいているのかいないのか、拓斗くんはまた別のドレスを探しに行ってしまう。

ああ、早くこの場から逃げ出したい……。そんな思いで店の外に視線を向けたその時だった。

「あっ」

ショッピングモールの通路を歩いていたスーツ姿の男性と目が合い、なんとそれが礼央さんだったので、私は思わず声を上げた。



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