エリート外科医といいなり婚前同居
そっか、私……礼央さんに気に入ってもらえるドレスが着たいんだ。
いつか彼にプレゼントしてもらったエプロンを着けた時みたいに、可愛いとか似合うって、言ってもらいたいんだ。
これって私、もしかして礼央さんのこと……。
「あの、礼央さんにお願いがあるんですけど」
「お願い?」
あと少しで輪郭を持ちそうな自分の気持ちを確かめるため、私は彼を連れて、さっきお気に入りのドレスを見つけたセレクトショップへと戻った。
そしてマネキンの着ているドレスを見て、やっぱりこれがいいなと再確認する。
「このドレスを試着してみるので、見ていただけませんか……?」
礼央さんはしばらくマネキンを眺めてから、私に優しく笑いかけた。
「うん、もちろん。このドレス、すごく千波に似合いそう」
ただそれだけのことなのに、胸がきゅうっと締め付けられて、鼓動がドキドキと鳴った。
……やっぱり、そうなのかもしれない。
拓斗くんとのことを誤解されなくてよかったって思うのも。
彼の気に入るドレスが着たいと思うのも。
そばにいるだけで、こんなに胸が高鳴るのも、きっと――。
甘い予感を抱きながら、鏡に囲まれた試着室でドレスに着替え、自分の姿をじっと見つめる。
お姫様……とまではいかないけれど、いつものエプロン姿よりは、少しくらい色気や女性らしさがあるよね?
うん、と自分を励ますように頷き、目の前の扉に手をかけた。
おそるおそる顔を上げた正面には、礼央さんが腕組みをしながら立っている。