エリート外科医といいなり婚前同居
「……たとえば今日だけど。当直明けで本当は眠いんだ。でも、俺は誰にもなにも言われなければ、気を失うまで仕事をしてしまう」
「気を失うまで……?」
お医者さんなのに、自分の体力の限界がわからないの?
驚いて目をしばたかせる私に、彼はさらに続ける。
「時間がもったいないから、食事をいつも片手で済ませられるものばかりで適当に済ませていたら、貧血で倒れたことがある。それ以来、鉄剤を飲むようにはしているが、本来は食事で取るものだろう? そういう乱れた生活を、誰かに正してもらいたくて」
「なるほど……」
彼が家政婦を欲しがる理由に納得がいき、私は深くうなずいた。
暁さんはワーカーホリック気味で、そのせいで医者の不養生ってやつに陥っているのだろう。誰かが強制的に休ませたり、栄養を取らせたりしなきゃ、倒れてしまいそう。
とはいえ、私も医者の父を持つ娘。一度は自分だって、医学部を志したこともある。
だから、いくら忙しくても苦しんでいる患者さんを放っておけない気持ちもわかるし、寝る間も惜しくなるほど、日々勉強を続けなければいけないのが、医者という職業だというのもわかる。