エリート外科医といいなり婚前同居
暁さんと「ないね」「ないです」と言い合いながら、あちこち探すこと数十分。
棚の上からコトッ、と床に何かが落ちる音がして、私はようやく目的の鍵らしきものを発見した。
「あ、もしかしてこれ――」
しゃがみ込んで鍵を手に取ろうとしたその時、同じく音に気づいたらしい暁さんが、鏡のように私と同じ行動をしていて。
「「あ」」
次の瞬間、鍵の上で手と手が触れ合い、私の心臓がきゅっと縮んだ。思わず手を引っ込め、気まずさで頬が熱くなる。
屈んだままでゆっくり視線を上げると、思いの外近くに暁さんの顔があって、伏せられた睫毛の長さとか、彼の髪から漂うシャンプーの香りに、ますます頬が火照ってしまう。
やばい。いくら仕事と思っていても、イケメンと一緒に生活するのって、思った以上に心臓に悪いかも……。
「ごめん。はい、これ」
しかし暁さんの方はあまり取り乱した様子はなく、サラッと謝ると私の手のひらに鍵を乗せた。