エリート外科医といいなり婚前同居
「今夜彼が仕事から帰ったら、抱いてくれない理由を聞いてみるといわ。たぶん、便利な家政婦であるあなたを手放したくない彼は、慌ててあなたを抱こうとするでしょう。でも、そこに愛情なんか欠片もないわ。あなたを意のままに操るための、いわばエサよ。そんな相手に初めてを捧げて、あなたは後悔しない……?」
ちょっと待って。由貴さんはどうして知っているの? 私が〝初めて〟だってこと。
もしかして、そんなことまで礼央さんが……。
「本当に礼央さんが話したんですか……?」
私は顔面蒼白になりながら、震える声で尋ねる。
「さっきからそうだって言ってるじゃない。あなた、セックスどころかキスも彼が初めてだったんでしょう? 同僚たちみーんな知ってるわ」
嘘……嘘、嘘! 信じたくないのに、目にはぶわっと涙が浮かんだ。
礼央さんは、私を弄んでいたんですか……? クリスマスに観覧車で言いかけた気持ちも。交わしたキスも。全部全部、偽物だったんですか……?