エリート外科医といいなり婚前同居

「結婚って……別に、私は今のままでも十分幸せです」

戸惑うようなその女性の声にも、私は聞き覚えがあった。昔から父の病院に勤務している看護師さんで、母の同僚でもあった、白石(しらいし)美奈代(みなよ)さんだ。

とっても明るくてパワフルで、周りの人を元気にしてくれる、太陽のような女性。そして確か、女手ひとつで一人息子を育てるシングルマザーだった。

つまり、同じく独り者の父と彼女がそういう関係だとしても、なにも後ろめたいことはない。

というか、むしろ……仕事に家事に育児、ずっとひとりで頑張ってきた父を見てきた娘としては、ふたりの恋路を応援したい気持ちなのだけど。

「第一、千波ちゃんになんて話すんですか?」

白石さんは結婚の話にあまり乗り気でないらしく、困ったように父に尋ねる。

「千波なら、大丈夫だ。そりゃ、驚くだろうし最初は複雑に思うかもしれないが……心の優しい子なんだ。きっと俺たちの背中を押してくれると思う」

お父さん……。私のこと、そんなふうに思ってくれていたんだ。じんわりと優しい気持ちが、胸に広がる。


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