エリート外科医といいなり婚前同居
やっぱり当たってたよ不吉な予感……。ということは、今私があの家に帰ったら、拓斗くんとふたりきりということになるの? それは気まずすぎる!
だって拓斗くん、前にショッピングモールで会った時に――。
『……ま、今日のところは引き下がりますよ。でも僕も本気なので、隙があれば奪いますから』
礼央さんを前にして、なんだか挑発的にそんなこと言っていたんだもん。
「わ、私たちがふたりだけで家にいるってなんか変だよね? ちょっと私、友達のところにお世話になれないか聞いてみる!」
「え? 別に僕は気にしませんけど……」
あなたが気にしなくても、私が気にするのー!
私はスマホを取り出し、すがるような思いで雅子に電話を掛けた。彼女ならひとり暮らしだし、ついでに今回のことを相談もしたい。
長いコール音の後、ようやく雅子が電話に出てくれる。
『もしもし、千波……?』
なんとなく気怠い雰囲気の漂う声だけれど、私は気にせず話し始めた。
「雅子? あのね、ものすごく図々しいお願いがあるんだけど」
『図々しい? ……うん、なに?』
「実は、今夜から数日雅子の家に――」
泊めてほしい、と口にする前に、電話の向こうからものすごく色っぽい男性の声が聞こえた。