エリート外科医といいなり婚前同居
「そうか……昨日、俺が急遽当直になったから」
夕食が必要ないと知ってがっかりしただろうに、こうして取っておいてくれたんだな……。
俺はキッチンで立ったまま、千波のお手製ハンバーグにぱくついて、あっという間に完食する。
そしてさっき取り損ねた水を取ろうと再び冷蔵庫を開けると、今度はふたつ並んだコンビニスイーツに気がつく。
一緒に食べようと思っていたのだろうか。ハンバーグのことといい、千波のけなげな想いが伝わってくるようで、胸がきつく締め付けられる。
この部屋に彼女がいるのが当たり前のようになっていたけれど、失ってみて初めて、それがかけがえのない愛しい時間だったのだと思い知る。
俺にはきみが必要なんだ……。このまま手放すなんて、考えられない。
明日は幸い休みだ。千波はきっと実家にいるだろうから、迎えに行ってちゃんと話し合おう。
くだらない意地は捨てて、本音で……お互いの気持ちを。
俺はそう決心するのと同時に、今度こそ手に取ったミネラルウォーターをごくごくと喉に流し込むのだった。