エリート外科医といいなり婚前同居
千波のことを思うとなかなか寝付けず朝方ようやく眠りについたため、目を覚ました時にはすでに午後一時頃だった。
もう少し早く起きて行動したかったのだが……と寝坊を悔やみつつ部屋で身支度を整えていると、ベッドの上でスマホが音を立てる。
「千波?」
慌てて確認した画面に表示されている名は、橋本修平。
なんだ、お前か……。と内心あからさまに落胆しつつも、仕方なく電話に出る。
「はい」
『あ、暁? 今、千波さんってどうしてる?』
……どうしてこいつが千波のことを。
しかもこのタイミング……もしかして、千波のことをなにか知っているのだろうか。
「昨夜出ていった。でも、俺が悪いんだ。これから迎えに――」
俺が最後まで言い終わる前に、橋本の盛大な溜息が聞こえた。
『やっぱりそうか……。そのことでちょっと謝りたいからさ、千波さんとこ行く前に病院寄ってくれよ』
「謝る……? なんで橋本が」
『来ればわかる。じゃあ待ってるから』
腑に落ちないまま一方的に通話は切れ、俺はスマホを見つめたまま顔をしかめる。