エリート外科医といいなり婚前同居
本当なら一刻も早く千波を迎えに行きたいが、橋本の話も気になる……。しかし電話で話せばすむことなのにわざわざ病院に呼び出すというのは、なにか意味があるのだろうか。
病院ならそう遠くはないし、橋本の話を聞いてから千波の元に向かってもそこまで遅くはならないか……。そう考えた俺は、とりあえず先に車で病院へ向かうことにした。
待ち合わせた病院の中庭には休憩時間らしい橋本の姿がすでにあり、俺が近づいていくといきなり腰を九十度に折って「すまん!」と口にした。
「いやだから、どうしてお前が謝るのかっていうのを聞きたいんだけど」
顔を上げた橋本は、気まずそうに口をもごもごしながら話し出す。
「……俺さ、一度お前のマンションにお邪魔したろ?」
「ああ、来たな。まさか、今さら千波を酔わせたことを謝ってるのか?」
「いや、違うんだ。……あの時実は俺、お前のマンションの場所を調べるようにある人に頼まれてたんだ。だから、あんな紅茶まで用意して食い下がったわけだ。で、訪問した後は約束通りその人にマンションの場所を教えた」