エリート外科医といいなり婚前同居

「べ、別に。お父さんにいい人がいるなら、私も安心して住み込みの家政婦の仕事ができるなって思っただけ」

「住み込み？」

「そう。暁さん、仕事が不規則で生活も乱れがちだから、住み込みで面倒見てほしいんだって。お父さん、どう思う？」

念のため確認すると、父はなぜか気持ちの悪いにやけ顔になった。

「へ～、ほ～。そんなことを頼まれたか。暁少年、なかなかやるなぁ」

少年？　父に比べたらそりゃだいぶ若いだろうけど、少年は言いすぎなんじゃ……。しかも〝なかなかやる〟ってどういう意味だろう。

頭に浮かんだ疑問を父にぶつけようとしたら、私より先に父が口を開いた。

「……あ、そうだ千波。これだけは言っておきたいんだけど」

「なに？」

「俺がもし美奈代さんと結婚したとしても、お前が暁少年のところで住み込みの家政婦をするようになっても。この家はお前の家だし、いつでも帰ってきていいんだからな？」

妙にシリアスな雰囲気をまとった父にそう言われ、私は目をぱちくりさせる。

改まって何を言い出すのかと思ったら……そんなの、言われなくてもわかってるよ。